专利摘要:
本発明は、哺乳動物被験体においてインスリン抵抗性を防止または処置する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの正味の正電荷;最小で4アミノ酸;最大で約20アミノ酸;正味の正電荷の最小数(pm)とアミノ酸残基の総数(r)との間において、3pmはr+1以下である最大数である関係;および芳香族基の最小数(a)と正味の正電荷の総数(pt)との間において、2aはpt+1以下である最大数であるが、但し、aが1である場合、ptもまた1であることができる関係を有する芳香族性−カチオン性ペプチドの有効量を、被験体に投与することを含む。 なし
公开号:JP2011511805A
申请号:JP2010546063
申请日:2009-02-06
公开日:2011-04-14
发明作者:イーサン;ジェイ アンダーソン;ヘイゼル;エイチ セトー;ピー;ダレル ニューファー
申请人:イースト カロライナ ユニヴァーシティー;コーネル ユニヴァーシティー;
IPC主号:A61K38-00
专利说明:

[0001] 関連出願の相互参照
本出願は、2008年2月7日に出願された米国仮特許出願第61/026,882号(その全内容は、本明細書においてその全体が参照により援用される)の優先権を主張する。]
[0002] 政府の権利
本発明は、NIH助成金番号DK073488およびDK056112に基づく米国政府の助成を受けて実施された。米国政府は、本発明において所定の権利を有する。]
[0003] 本発明は、一般的に、インスリン抵抗性を防止または処置する方法に関する。特に、本発明は、哺乳動物骨格筋組織においてインスリン抵抗性を防止または処置するのに有効な量で芳香族性−カチオン性ペプチドを投与することに関する。]
背景技術

[0004] 以下の説明は、読者の理解を助けるために提供するものである。提供された情報または引用された参考文献のいずれも、本発明の先行技術であると認めるものではない。]
[0005] 肥満は、世界的に流行しており、その結果、21世紀においてヒトの健康に直面する主要な課題になっている。インスリンに対する骨格筋の感受性が減少することは、肥満に関連する最も早期の疾病であり、そしてそれが持続することは、II型糖尿病および循環器系疾患の重要な危険因子である。骨格筋における脂質の蓄積は、以前から長い間、インスリン抵抗性の発達、炎症促進性の脂質代謝物(例えば、脂肪酸アシル−CoA、ジアシルグリセロールおよび/またはセラミド)の作製および細胞内蓄積に現在帰する不適応な応答、ならびにインスリンシグナリングをアンタゴナイズするストレス感受性セリン/スレオニンキナーゼの関連する活性化に関連している。肥満の個体由来の骨格筋はまた、代謝遺伝子の発現低下、呼吸容量の減少、およびより小さなかつ量が少ないミトコンドリアを証拠とするミトコンドリアの機能の重大な減少によって特徴付けられることから、後天的または先天的ミトコンドリア機能不全による脂肪を酸化する能力の減少は、様々な代謝状態において発達する脂質の蓄積およびインスリン抵抗性の根本的原因であり得ることが推測される。]
課題を解決するための手段

[0006] 本発明は、一般的に、治療有効量の芳香族性−カチオン性ペプチドを、それを必要とする被験体に投与することによる骨格筋組織におけるインスリン抵抗性の処置または防止に関する。特定の実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドは、骨格筋ミトコンドリア機能障害の発症および活性酸素種の過剰賛成を抑制することによって、食餌誘導性インスリン抵抗性を処置または防止する。]
[0007] 一態様では、本発明は、哺乳動物被験体におけるインスリン抵抗性および関連する合併症を処置または防止する方法に関し、この方法は、前記哺乳動物被験体に治療有効量の芳香族性−カチオン性ペプチドを投与することを含む。いくつかの実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドは、以下を有するペプチドである:
少なくとも1つの正味の正電荷;
最小で4アミノ酸;
最大で約20アミノ酸;
正味の正電荷の最小数(pm)とアミノ酸残基の総数(r)との間において、3pmはr+1以下である最大数である関係;および芳香族基の最小数(a)と正味の正電荷の総数(pt)との間において、2aはpt+1以下である最大数であるが、但し、aが1である場合、ptもまた1であることができる関係。特定の実施形態では、哺乳動物被験体はヒトである。]
[0008] 一実施形態では、2pmは最大数であり、これは、r+1以下であり、そしてptに等しくてもよい。芳香族性−カチオン性ペプチドは、最小で2つまたは最小で3つの正電荷を有する水溶性ペプチドであってもよい。]
[0009] 一実施形態では、ペプチドは、1以上の天然に存在しないアミノ酸、例えば、1以上のD−アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、C末端のアミノ酸のC末端カルボキシル基をアミド化する。所定の実施形態では、ペプチドは、最小で4アミノ酸を有する。ペプチドは、最大で約6、最大で約9、または最大で約12アミノ酸を有してもよい。]
[0010] いくつかの実施形態では、ペプチドはオピオイド受容体アゴニスト活性を有する。他の実施形態では、ペプチドはオピオイド受容体アゴニスト活性を有さない。]
[0011] 一実施形態では、ペプチドは、N末端においてチロシンまたは2’,6’−ジメチルチロシン(Dmt)残基を含む。例えば、ペプチドは、式Tyr−D−Arg−Phe−Lys−NH2(SS−01)または2’,6’−Dmt−D−Arg−Phe−Lys−NH2(SS−02)を有してもよい。もう1つの実施形態では、ペプチドは、N末端においてフェニルアラニンまたは2’,6’−ジメチルフェニルアラニン残基を含む。例えば、ペプチドは、式Phe−D−Arg−Phe−Lys−NH2(SS−20)または2’,6’−Dmp−D−Arg−Phe−Lys−NH2を有してもよい。特定の実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドは、式D−Arg−2’6’Dmt−Lys−Phe−NH2(SS−31)を有する。]
[0012] 一実施形態では、ペプチドは、式Iによって定義される:



[式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、以下から選択される
(i)水素;
(ii)直鎖または分岐C1−C6アルキル;



R3およびR4は、それぞれ独立して、以下から選択される
(i)水素;
(ii)直鎖または分岐C1−C6アルキル;
(iii)C1−C6アルコキシ;
(iv)アミノ;
(v)C1−C4アルキルアミノ;
(vi)C1−C4ジアルキルアミノ;
(vii)ニトロ;
(viii)ヒドロキシル;
(ix)ハロゲンであって、ここで、「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードを包含し;
R5、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立して、以下から選択される
(i)水素;
(ii)直鎖または分岐C1−C6アルキル;
(iii)C1−C6アルコキシ;
(iv)アミノ;
(v)C1−C4アルキルアミノ;
(vi)C1−C4ジアルキルアミノ;
(vii)ニトロ;
(viii)ヒドロキシル;
(ix)ハロゲンであって、ここで、「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードを包含し;そして
nは1〜5の整数である]。]
[0013] 特定の実施形態では、R1およびR2は水素であり;R3およびR4はメチルであり;R5、R6、R7、R8、およびR9はすべて水素であり;そしてnは4である。]
[0014] いくつかの実施形態では、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドは、高インスリン血症、II型糖尿病、脂質代謝異常、血管内皮機能異常、網膜症、冠動脈疾患、循環器系疾患、腎機能障害、高血圧症、脂肪肝、ニューロパチー、および高尿酸血症を含むがこれらに限定されない哺乳動物被験体においてインスリン抵抗性に関連する合併症を処置または防止するために使用される。長期のインスリン抵抗性によって潜在的に引き起こされる循環器系疾患の具体例として、心筋梗塞、出血性または虚血性脳卒中(脳梗塞)が挙げられる。]
[0015] 本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドは、多様な方法で投与することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドを、経口的、局所的、鼻腔内、静脈内、皮下、または経皮的に(例えば、イオン泳動によって)投与してもよい。]
[0016] もう1つの態様では、本発明は、糖尿病、肥満、高脂血症、動脈硬化、脳血管疾患、高血圧症または心臓疾患を防止および/または処置する方法を提供し、この方法は、治療有効量の芳香族性−カチオン性ペプチドを、それを必要とする被験体に投与することを含む。特定の実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドは、D−Arg−2’6’Dmt−Lys−Phe−NH2(SS−31)を含む。]
図面の簡単な説明

[0017] 図1は、骨格筋ミトコンドリアH2O2放出に対する過度の食餌性脂肪の影響を示す一連のグラフである。図1Aは、標準食、高脂肪食を3日間、または高脂肪食を3週間給餌したラットから調製した透過性化骨格筋線維からのミトコンドリアH2O2放出の速度を比較した代表的描線である。図1Bは、正常な食餌を給餌した対照ラットおよび高脂肪の食餌を給餌したラットにおける透過性化ラット骨格筋線維のミトコンドリアオキシダント放出能を示すグラフである。
対照食と比較した高脂肪を給餌したラットから調製された骨格筋線維において、アンチマイシンAの存在下でのミトコンドリアH2O2放出を示すチャートである。アンチマイシンAの存在下でのミトコンドリアH2O2放出を、両方のグループにおいて、ピルビン酸およびリンゴ酸の滴定により測定した。
図3は、筋肉組織の酸化状態に対する本発明のSS−31ペプチドの効果を示す一連のチャートである。被験体には、通常の食餌(対照)、高脂肪の食餌(HF)、または連日のSS−31投与(HF+SS−31)を伴う高脂肪の食餌を給餌したラットが含まれる。図3Aおよび3Bは、それぞれ、インビトロおよびインビボでSS−31抗酸化活性の用量応答曲線を示すグラフである。図3Cおよび3Dは、標準食、高脂肪の食餌、または連日のSS−31投与を伴う高脂肪の食餌を給餌し、そしてコハク酸刺激H2O2放出(図3C)およびパルミトイル−カルニチン刺激H2O2放出(図3D)についてアッセイした対照ラットにおける透過性化ラット骨格筋線維のミトコンドリアオキシダント放出能を示すグラフである。図3Eおよび3Fは、標準食、高脂肪の食餌または連日のSS−31投与を伴う高脂肪の食餌を給餌した対照ラットにおける呼吸速度を示すチャートである。呼吸を、基底(PM4、PCM4)の呼吸状態および最大ADP刺激(PM3、PCM3)呼吸状態の両方において、ピルビン酸およびリンゴ酸(図3E)またはパルミトイル−カルニチンおよびリンゴ酸(図3F)で測定した。図3Gは、標準食、高脂肪の食餌または連日のSS−31投与を伴う高脂肪の食餌を給餌した対照ラットにおける全グルタチオンを示すチャートである。図3Hは、標準食、高脂肪の食餌または連日のSS−31投与を伴う高脂肪の食餌を給餌した対照ラットにおけるGSH/GSSGの比を示すチャートである。分析は、経口グルコース摂取の前(−)または1時間後(+)のいずれかに実施した。データは、平均±S.E.Mの代表値である;n=4〜6、*P<0.05対対照−標準食、†P<0.05対SS−31処置。
図4は、筋肉組織におけるインスリン抵抗性に対する本発明のSS−31ペプチドの効果を示す一連のチャートである。図4Aは、標準食、高脂肪の食餌または連日のSS−31投与を伴う高脂肪の食餌を給餌した対照ラットにおける血漿グルコースクリアランス率を示すグラフである。図4Bは、同じ実験被験体における空腹時血漿インスリンレベルを示すグラフである。図4Cは、恒常性モデル評価(HOMA)の増加を示すチャートであり、そして図4Dは、標準食、高脂肪の食餌、または連日のSS−31投与を伴う高脂肪の食餌を伴う対照ラットにおけるグルコースおよびインスリンの両方のより大きな曲線下面積(AUC)を示すチャートである。データは、平均±S.E.Mの代表値である;n=9〜10、*P<0.05対対照−標準食、†P<0.05対SS−31処置。図4Eは、グルコースチャレンジに応答したラット骨格筋ホモジネート中リン酸化Aktおよび全Aktのイムノブロットである。図4Fは、デンシトメトリーを使用して、これらのブロットの定量化を示すチャートである。データは、平均±S.E.Mの代表値である;n=4〜5、‡P<0.05対グルコースチャレンジを施行しなかった動物。
図5は、痩身型および肥満型ヒト被験体由来の筋肉組織の酸化状態を示す一連のグラフである。図5Aおよび5Bは、肥満型および痩身型ヒト男性の外側広筋から得られた生検から調製した透過性化線維からのミトコンドリアH2O2放出を示すグラフである。コハク酸支持(図5A)およびパルミトイル−カルニチン支持(図5B)H2O2放出の両方を測定した。図5Cは、痩身型サンプルと比較した、肥満型サンプルにおけるH2O2放出/O2消費の比を示すグラフである。図5Dは、基底(PCM4)状態または最大(PCM3)状態のいずれかにおいてグルタミン酸/リンゴ酸(GM4)、ADP(GM3)、およびパルミトイル−カルニチン/リンゴ酸の存在下での呼吸を示すグラフである。図5Eは、痩身型と比較した肥満型の骨格筋における全グルタチオン(GSHt)を示すグラフである。図5Fは、痩身型と比較した肥満型の骨格筋におけるGSH/GSSGの比を示すグラフである。データは、平均±S.E.Mの代表値である;n=4〜5、*P<0.05対そのそれぞれの実験についての痩身型男性。] 図1A 図1B 図3A 図3C 図3D 図3E 図3F 図3G 図3H 図4A
[0018] 本発明を実質的に理解するために、本発明の所定の態様、形態、実施形態、変形および特徴については、以下に様々な段階で詳述されることを理解すべきである。]
[0019] 本発明を実施する際に、分子生物学、タンパク質生化学、細胞生化学、免疫学、微生物学および組み換えDNAにおける多くの従来の技術が使用される。そのような技術は周知であり、そして例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Vols.I−III,Ausubel,Ed.(1997);Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989);DNA Cloning:A Practical Approach,Vols.IおよびII,Glover,Ed.(1985);Oligonuchotide Synthesis,Gait,Ed.(1984);Nucleic Acid Hybridization,Hames&Higgins,Eds.(1985);Transcription and Translation,Hames&Higgins,Eds.(1984);Animal Cell Culture,Freshney,Ed.(1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning;the series,Meth. Enzymol.,(Academic Press,Inc.,1984);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells,Miller&Calos,Eds.(Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1987);ならびにMeth.Enzymol.,Vols.154および155、それぞれWu&Grossman、およびWu,Eds.において説明されている。ポリペプチド遺伝子発現産物のレベル(即ち、遺伝子翻訳レベル)を検出および測定するための方法は、当該分野において周知であり、そして抗体検出および定量化技術のようなポリペプチド検出方法の使用を含む。(また、Strachan&Read,Human Molecular Genetics,Second Edition.(John Wiley and Sons,Inc.,NY,1999)も参照のこと)。]
[0020] 本明細書において使用する所定の用語の定義を以下に示す。他で定義されない限り、本明細書において使用するすべての技術的および科学的用語は、一般的に、本発明が属する当該分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。]
[0021] 本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに他を指示しない限り、複数形にも言及する。例えば、「細胞」への言及は、2個以上の細胞などの組み合わせを含む。一般的に、本明細書において使用する命名方法、ならびに下記の細胞培養、分子遺伝学、有機化学、分析化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションの実験手順は、当該分野において周知かつ一般に用いられる手順である。]
[0022] 本明細書において使用する薬剤、薬物、またはペプチドの被験体への「投与」は、被験体に、意図された機能を実施するための化合物を導入または送達する任意の経路を含む。投与は、経口的、鼻腔内、非経口的(静脈内、筋肉内、腹腔内、もしくは皮下)または局所的を含む任意の適切な経路によって、行うことができる。投与は、自己投与および他者による投与を含む。]
[0023] 本明細書において使用する用語「生物学的サンプル」は、生細胞に由来するかまたは生細胞が関連するサンプル材料を意味する。用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された組織、細胞および体液、ならびに被験体内に存在する組織、細胞および流体を含むことが意図される。本発明の生物学的サンプルとして、例えば、全血、血漿、精液、唾液、涙、尿、糞便材料、汗、頬、皮膚、脳脊髄液、および毛が挙げられるが、これらに限定されない。生物学的サンプルはまた、内臓の生検または癌からも得ることができる。生物学的サンプルは、診断もしくは研究のために被験体から得ることができるか、または対照としてもしくは基礎研究のために、疾患を患っていない個体から得ることができる。]
[0024] 本明細書において使用する用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸に類似の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸擬似体を含む。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子暗号によってコードされるもの、ならびに後に改変されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、即ち、水素に結合しているα炭素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチルメチオニンスルホニウムを指す。そのような類似体は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸擬似体は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸に類似の様式で機能する化学化合物を指す。アミノ酸は、それらの一般に公知の3文字記号またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号のいずれかによって、呼称することができる。]
[0025] 本明細書において使用する用語、組成物の「有効量」または「薬学的有効量」または「治療有効量」は、所望される治療および/または予防効果を達成するのに十分な量であり、例えば、その量は、インスリン抵抗性に関連する症状の防止、または減少をもたらす。被験体に投与される本発明の組成物の量は、疾患のタイプおよび重症度に依存し、そして総合的健康、年齢、性別、体重および薬物に対する忍容性のような個体の特徴に依存する。それはまた、疾患の程度、重症度およびタイプに依存する。当業者は、これらのおよび他の因子に依存して、適切な用量を決定することが可能である。本発明の組成物はまた、1つ以上のさらなる治療用化合物と組み合わせて、投与することもできる。本発明の方法では、芳香族性−カチオン性ペプチドを、疾患または病態によって引き起こされるインスリン抵抗性の1つ以上の徴候を有する被験体に投与してもよい。有効量の芳香族性−カチオン性ペプチドの投与は、被験体におけるインスリン抵抗性の少なくとも1つの徴候または症状、例えば、体重、空腹時グルコース/インスリン/遊離脂肪酸、耐糖能(OGTT)、インビトロでの筋肉インスリン感受性、インスリンシグナリングのマーカー(例えば、Akt−P、IRS−P)、ミトコンドリアの機能(例えば、呼吸またはH2O2放出)、細胞内酸化ストレス(例えば、脂質過酸化、GSH/GSSG比またはアコニターゼ活性)のマーカーおよびミトコンドリアの酵素活性を改善し得る。例えば、芳香族性−カチオン性ペプチドの「治療有効量」とは、インスリン抵抗性の生理学的影響が最小でも改善されるレベルを意味する。]
[0026] 「単離された」もしくは「精製された」ポリペプチドまたはペプチドは、薬剤が由来する細胞または組織供給源由来の細胞材料もしくは他の夾雑ポリペプチドを実質的に含まないか、あるいは化学的に合成する場合、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。例えば、単離された芳香族性−カチオン性ペプチドは、薬剤の診断または治療用途を干渉する材料を含まない。そのような干渉材料として、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性および非タンパク質性溶質を挙げることができる。]
[0027] 本明細書において使用する用語「医学的病態」は、限定されないが、処置および/または防止が所望される1つ以上の身体的および/または心理学的症状として現れる任意の病態または疾患を含み、そして以前におよび新たに同定された疾患および他の異常を含む。例えば、医学的病態は、インスリン抵抗性、高インスリン血症、II型糖尿病、脂質代謝異常、血管内皮機能異常、冠動脈疾患、循環器系疾患、脳血管疾患、腎機能障害、高血圧症、脂肪肝、ニューロパチー、および高尿酸血症であってもよい。]
[0028] 本明細書において使用する用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において、同義的に使用され、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合、即ち、ペプチドイソスターによって相互に接続された2以上のアミノ酸を含むポリマーを意味する。ポリペプチドは、一般に、ペプチド、糖ペプチドまたはオリゴマーと称される短い鎖および一般的に、タンパク質と称されるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、20個の遺伝子によってコードされるアミノ酸以外のアミノ酸を含有してもよい。ポリペプチドは、翻訳後プロセシングのような天然のプロセスか、または当該技術分野において周知である化学修飾技術のいずれかによって修飾されたアミノ酸配列を含む。そのような修飾については、基本的なテキストおよびより詳細な専門書、ならびに多くの研究文献に良好に説明されている。]
[0029] 本明細書において使用する用語「処置する」または「処置」または「軽減」は、治療的処置および予防または防止手段の両方を指し、ここで、目的は、標的にした病理学的病態または異常を防止または緩徐にする(低減する)ことである。本発明の方法に従って治療量の芳香族性−カチオン性ペプチドを投与した後、被験体において、特定の疾患または病態の1つ以上の徴候および症状が、観察可能および/または測定可能に減少するか、あるいは認められない場合、被験体は、インスリン抵抗性について首尾よく「処置される」。例えば、インスリン抵抗性では、処置は、空腹時血中グルコースもしくはインスリンレベル、または経口グルコースチャレンジに応答するグルコースおよびインスリンの曲線下面積の減少を含み得る。記載のような医学的病態の処置または防止の様々な様式は、「実質的な」(すべてを含むが、但しまた、すべて未満をも含む)処置または防止を意味することが意図され、そしてここで、いくつかの生物学的または医学的に関連する結果が達成されることもまた、理解されるべきである。]
[0030] 本発明者らは、意外なことに、芳香族性−カチオン性ペプチドにより、哺乳動物組織のインスリン抵抗性;特に、骨格筋組織のインスリン抵抗性を防止または処置することができることを発見した。場合によって、インスリン抵抗性は、好脂肪の食餌、またはより一般的には、栄養過多により得る。本発明のペプチドは、糖尿病、前糖尿病または肥満インスリン抵抗性、非糖尿病患者を処置するのに有益である。本発明を特定の作用機序に限定することは意図してないが、ミトコンドリアの完全性およびインスリン感受性の消失は、一般的な代謝障害、即ち、酸化ストレスに由来すると考えられる。特に、高脂肪の食餌による栄養過多は、ミトコンドリアの活性酸素種(ROS)放出および骨格筋の全体的な酸化ストレスを増加し得、急性および慢性ミトコンドリア機能障害の両方ならびにインスリン抵抗性の発達をもたらす。本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドは、これらの影響を軽減し、それによって、骨格筋組織におけるミトコンドリアの機能を改善し、それ故、インスリン感受性を改善する。本発明はまた、本発明のペプチドを使用して、糖尿病、前糖尿病、関連代謝疾患、およびそれらから生じる合併症を予防または処置する方法を提供する。]
[0031] 本発明者らは、高脂肪の食餌/肥満誘導性インスリン抵抗性は、ミトコンドリアの生体エネルギー論に関連することを見出した。代謝基質が過剰に供給されると、ミトコンドリア呼吸系が減少して、ROS放出の増加および全体的なレドックス環境におけるさらなる酸化型状態への偏りが生じ、これが持続すれば、インスリン抵抗性が発達することが示唆される。ミトコンドリアの生体エネルギー論をインスリン抵抗性の病因論に結び付けることには、多くの臨床的意義がある。ヒトにおけるインスリン抵抗性(NIDDM)の標準治療では、しばしば、体重が増加し、そして選択された個体では、得られる代謝および臨床経過によって、血液中の糖の可変性が増加することが公知である。本明細書において示す実施例では、ミトコンドリアを標的にした抗酸化剤(例えば、芳香族性−カチオン性ペプチド)によるミトコンドリア欠損症の処置が、増加したインスリンの成長および代謝効果を伴わないインスリン抵抗性の代謝の修正に対する新たなかつ意外なアプローチを提供することが実証される。]
[0032] 本発明は、所定の芳香族性−カチオン性ペプチドによるインスリン抵抗性の減少に関する。芳香族性−カチオン性ペプチドは、水溶性かつ高度に極性である。これらの特性にもかかわらず、ペプチドは、細胞膜を容易に透過することができる。本発明に有用な芳香族性−カチオン性ペプチドは、ペプチド結合によって共有結合した最小で3アミノ酸、好ましくは、最小で4アミノ酸を含む。本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドに存在するアミノ酸の最大数は、ペプチド結合によって共有結合した約20アミノ酸である。好ましくは、アミノ酸の最大数は約20、より好ましくは、約9、そして最も好ましくは、約6である。最適には、ペプチドに存在するアミノ酸の数は4である。]
[0033] 本発明において有用な芳香族性−カチオン性ペプチドのアミノ酸は、いずれのアミノ酸でもあり得る。本明細書において使用する用語「アミノ酸」は、少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基を含有する任意の有機分子を指すために使用される。好ましくは、少なくとも1つのアミノ基は、カルボキシル基に対してα位に存在する。アミノ酸は、天然に存在するものであってもよい。天然に存在するアミノ酸として、例えば、哺乳動物のタンパク質において通常見出される20の最も一般的な左旋性(L)のアミノ酸、即ち、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、およびバリン(Val)が挙げられる。他の天然に存在するアミノ酸として、例えば、タンパク質合成に関連しない代謝プロセスにおいて合成されるアミノ酸が挙げられる。例えば、アミノ酸のオルニチンおよびシトルリンは、尿素の生成中の哺乳動物の代謝において合成される。天然に存在するアミノ酸のもう1つの例として、ヒドロキシプロリン(Hyp)が挙げられる。]
[0034] 本発明において有用なペプチドは、場合により、1つ以上の天然に存在しないアミノ酸を含有する。最適には、ペプチドは、天然に存在するアミノ酸を有さない。天然に存在しないアミノ酸は、左旋性(L−)、右旋性(D−)、またはそれらの混合物であってもよい。天然に存在しないアミノ酸は、生体生物体の正常な代謝プロセスでは、典型的に合成されず、そしてタンパク質には天然に存在しないアミノ酸である。加えて、本発明において有用な天然に存在しないアミノ酸はまた、好ましくは、一般的なプロテアーゼによって認識されない。天然に存在しないアミノ酸は、ペプチドのいずれの位置にも存在することができる。例えば、天然に存在しないアミノ酸は、N末端、C末端、またはN末端とC末端との間のいずれの位置にも存在することができる。]
[0035] 非天然アミノ酸は、例えば、天然アミノ酸において認められないアルキル、アリール、またはアルキルアリール基を含み得る。非天然のアルキルアミノ酸のいくつかの例として、α−アミノ酪酸、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、δ−アミノ吉草酸、およびε−アミノカプロン酸が挙げられる。非天然のアリールアミノ酸のいくつかの例として、オルト−、メタ−、およびパラ−アミノ安息香酸が挙げられる。非天然のアルキルアリールアミノ酸のいくつかの例として、オルト−、メタ−、およびパラ−アミノフェニル酢酸、およびγ−フェニル−β−アミノ酪酸が挙げられる。天然に存在しないアミノ酸として、天然に存在するアミノ酸の誘導体が挙げられる。天然に存在するアミノ酸の誘導体は、例えば、天然に存在するアミノ酸への1つ以上の化学基の付加を含んでもよい。]
[0036] 例えば、1つ以上の化学基を、フェニルアラニンまたはチロシン残基の芳香環の2’、3’、4’、5’、もしくは6’位、あるいはトリプトファン残基のベンゾ環の4’、5’、6’、もしくは7’位のうちの1つ以上に付加することができる。基は、芳香環に付加することができる任意の化学基であり得る。そのような基のいくつかの例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、またはt−ブチルのような分岐したもしくは分岐していないC1−C4アルキル、C1−C4アルキルオキシ(即ち、アルコキシ)、アミノ、C1−C4アルキルアミノおよびC1−C4ジアルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、ヒドロキシル、ハロ(即ち、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)が挙げられる。天然に存在するアミノ酸の天然には存在しない誘導体のいくつかの具体例として、ノルバリン(Nva)およびノルロイシン(Nle)が挙げられる。]
[0037] 本発明の方法において有用なペプチドにおけるアミノ酸の修飾のもう1つの例は、ペプチドのアスパラギン酸またはグルタミン酸残基のカルボキシル基の誘導体化である。誘導体化の1つの例は、アンモニアまたは第1級もしくは第2級アミンによるアミド化、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミンまたはジエチルアミンである。誘導体化のもう1つの例として、例えば、メチルまたはエチルアルコールによるエステル化が挙げられる。もう1つのそのような修飾の例として、リジン、アルギニン、またはヒスチジン残基のアミノ基の誘導体化が挙げられる。例えば、そのようなアミノ基をアシル化することができる。いくつかの適切なアシル基として、例えば、アセチルまたはプロピオニル基のような上記のC1−C4アルキル基のいずれかを含むベンゾイル基またはアルカノイル基が挙げられる。]
[0038] 天然に存在しないアミノ酸は、一般的なプロテアーゼに対して好ましくは、耐性であり、より好ましくは、非感受性である。プロテアーゼに対して耐性または非感受性である天然に存在しないアミノ酸の例として、上記の天然に存在するL−アミノ酸のいずれかの右旋性の(D−)型、ならびに天然に存在しないL−および/またはD−アミノ酸が挙げられる。D−アミノ酸は、タンパク質において天然に存在しないが、それらは、細胞の正常なリボソームタンパク質合成機構以外の手段によって合成される所定のペプチド抗生物質において見出される。本明細書において使用するD−アミノ酸は、天然に存在しないアミノ酸と考えられる。]
[0039] プロテアーゼの感受性を最小限にするために、本発明の方法において有用なペプチドは、アミノ酸が天然に存在するかまたは天然には存在しないかにかかわらず、一般的なプロテアーゼによって認識される5未満、好ましくは、4未満、より好ましくは、3未満、最も好ましくは、2未満の連続L−アミノ酸を有するべきである。最適には、ペプチドは、D−アミノ酸のみを有し、L−アミノ酸を有さない。ペプチドがプロテアーゼ感受性配列のアミノ酸を含有する場合、アミノ酸の少なくとも1つは、好ましくは、天然には存在しないD−アミノ酸であり、それによって、プロテアーゼ耐性を付与する。プロテアーゼ感受性配列の例として、エンドペプチダーゼおよびトリプシンのような一般的なプロテアーゼによって容易に切断される2以上の連続する塩基性アミノ酸が挙げられる。塩基性アミノ酸の例として、アルギニン、リジンおよびヒスチジンが挙げられる。]
[0040] 芳香族性−カチオン性ペプチドは、ペプチドにおけるアミノ酸残基の総数と比較して、生理学的pHで最小数の正味の正電荷を有するべきである。以下、生理学的pHにおける最小数の正味の正電荷を、(pm)と称する。以下、ペプチドにおけるアミノ酸残基の総数を、(r)と称する。以下に考察する正味の正電荷の最小数は、生理学的pHにおけるすべてのものである。本明細書において使用する用語「生理学的pH」は、哺乳動物の身体の組織および器官の細胞における正常なpHを指す。例えば、ヒトの生理学的pHは、通常、約7.4であるが、哺乳動物における正常な生理学的pHは、約7.0〜約7.8のいずれのpHであってもよい。]
[0041] 本明細書において使用する「正味の電荷」は、ペプチドに存在するアミノ酸によって担持される正電荷の数および負電荷の数の均衡を指す。本明細書では、正味の電荷は、生理学的pHにおいて測定されることが理解される。生理学的pHにおいて正に荷電する天然に存在するアミノ酸として、L−リジン、L−アルギニン、およびL−ヒスチジンが挙げられる。生理学的pHにおいて負に荷電する天然に存在するアミノ酸として、L−アスパラギン酸およびL−グルタミン酸が挙げられる。]
[0042] 典型的に、ペプチドは、正に荷電したN末端のアミノ基および負に荷電したC末端のカルボキシル基を有する。電荷は、生理学的pHにおいて相互に打ち消しあう。正味の電荷を計算する例として、ペプチドTyr−Arg−Phe−Lys−Glu−His−Trp−D−Argは、1つの負に荷電したアミノ酸(即ち、Glu)および4つの正に荷電したアミノ酸(即ち、2つのArg残基、1つのLys、および1つのHis)を有する。従って、上記のペプチドは、3の正味の正電荷を有する。]
[0043] 本発明の一実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドは、生理学的pHでの正味の正電荷の最小数(pm)とアミノ酸残基の総数(r)との間において、3pmがr+1以下である最大数である関係を有する。本実施形態では、正味の正電荷の最小数(pm)とアミノ酸残基の総数(r)との間の関係は以下のとおりである:]
[0044] ]
[0045] もう1つの実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドは、正味の正電荷の最小数(pm)とアミノ酸残基の総数(r)との間において、2pmがr+1以下である最大数である関係を有する。本実施形態では、正味の正電荷の最小数(pm)とアミノ酸残基の総数(r)との間の関係は以下のとおりである:]
[0046] ]
[0047] 一実施形態では、正味の正電荷の最小数(pm)およびアミノ酸残基の総数(r)は等しい。もう1つの実施形態では、ペプチドは、3もしくは4つのアミノ酸残基および最小で1つの正味の正電荷、好ましくは、最小で2つの正味の正電荷、より好ましくは、最小で3つの正味の正電荷を有する。]
[0048] 芳香族性−カチオン性ペプチドは、正味の正電荷の総数(pt)と比較して、最小で芳香族基を有することもまた、重要である。以下、芳香族基の最小数を、(a)と称する。芳香族基を有する天然に存在するアミノ酸として、アミノ酸のヒスチジン、トリプトファン、チロシン、およびフェニルアラニンが挙げられる。例えば、ヘキサペプチドLys−Gln−Tyr−D−Arg−Phe−Trpは、2の正味の正電荷(リジンおよびアルギニン残基が寄与する)ならびに3つの芳香族基(チロシン、フェニルアラニンおよびトリプトファン残基が寄与する)を有する。]
[0049] 本発明の方法において有用な芳香族性−カチオン性ペプチドはまた、芳香族基の最小数(a)と生理学的pHでの正味の正電荷の総数(pt)との間において、3aはpt+1以下である最大数であるが、但し、ptが1である場合、aもまた1であることができる関係を有する。本実施形態では、芳香族基の最小数(a)と正味の正電荷の総数(pt)との間の関係は以下のとおりである:]
[0050] ]
[0051] もう1つの実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドは、芳香族基の最小数(a)と正味の正電荷の総数(pt)との間において、2aがpt+1以下である最大数である関係を有する。本実施形態では、芳香族アミノ酸残基の最小数(a)と正味の正電荷の総数(pt)との間の関係は以下のとおりである:]
[0052] ]
[0053] もう1つの実施形態では、芳香族基の数(a)および正味の正電荷の総数(pt)は等しい。]
[0054] カルボキシル基、特に、C−末端アミノ酸の末端カルボキシル基は、好ましくは、例えば、アンモニアによってアミド化されて、C末端アミドを形成する。あるいは、C−末端アミノ酸の末端カルボキシル基は、任意の第1級および第2級アミンでアミド化してもよい。第1級または第2級アミンは、例えば、アルキル、特に、分岐したもしくは分岐していないC1−C4アルキル、またはアリールアミンであってもよい。従って、ペプチドのC末端におけるアミノ酸は、アミド、N−メチルアミド、N−エチルアミド、N,N−ジメチルアミド、N,N−ジエチルアミド、N−メチル−N−エチルアミド、N−フェニルアミドまたはN−フェニル−N−エチルアミド基に変換してもよい。本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドのC末端に存在しないアスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸残基の遊離のカルボキシル基もまた、それらがペプチド内に存在する場合、アミド化してもよい。これらの内部位置でのアミド化は、アンモニアまたは上記の第1級もしくは第2級アミンのいずれかによってなされ得る。]
[0055] 一実施形態では、本発明の方法において有用な芳香族性−カチオン性ペプチドは、2つの正味の正電荷および少なくとも1つの芳香族性アミノ酸を有するトリペプチドである。特定の実施形態では、本発明の方法において有用な芳香族性−カチオン性ペプチドは、2つの正味の正電荷および2つの芳香族性アミノ酸を有するトリペプチドである。]
[0056] 本発明の方法において有用な芳香族性−カチオン性ペプチドとして、以下のペプチドの例が挙げられるが、これらに限定されない:
Lys−D−Arg−Tyr−NH2
Phe−D−Arg−His
D−Tyr−Trp−Lys−NH2
Trp−D−Lys−Tyr−Arg−NH2
Tyr−His−D−Gly−Met
Phe−Arg−D−His−Asp
Tyr−D−Arg−Phe−Lys−Glu−NH2
Met−Tyr−D−Lys−Phe−Arg
D−His−Glu−Lys−Tyr−D−Phe−Arg
Lys−D−Gln−Tyr−Arg−D−Phe−Trp−NH2
Phe−D−Arg−Lys−Trp−Tyr−D−Arg−His
Gly−D−Phe−Lys−Tyr−His−D−Arg−Tyr−NH2
Val−D−Lys−His−Tyr−D−Phe−Ser−Tyr−Arg−NH2
Trp−Lys−Phe−D−Asp−Arg−Tyr−D−His−Lys
Lys−Trp−D−Tyr−Arg−Asn−Phe−Tyr−D−His−NH2
Thr−Gly−Tyr−Arg−D−His−Phe−Trp−D−His−Lys
Asp−D−Trp−Lys−Tyr−D−His−Phe−Arg−D−Gly−Lys−NH2
D−His−Lys−Tyr− D−Phe−Glu−D−Asp−D−His−D−Lys−Arg−Trp−NH2
Ala−D−Phe−D−Arg−Tyr−Lys−D−Trp−His−D−Tyr−Gly−Phe
Tyr−D−His−Phe−D−Arg−Asp−Lys−D−Arg−His−Trp−D−His−Phe
Phe−Phe−D−Tyr−Arg−Glu−Asp−D−Lys−Arg−D−Arg−His−Phe−NH2
Phe−Try−Lys−D−Arg−Trp−His−D−Lys−D−Lys−Glu−Arg−D−Tyr−Thr
Tyr−Asp−D−Lys−Tyr−Phe−D−Lys−D−Arg−Phe−Pro−D−Tyr−His−Lys
Glu−Arg−D−Lys−Tyr−D−Val−Phe−D−His−Trp−Arg−D−Gly−Tyr−Arg−D−Met−NH2
Arg−D−Leu−D−Tyr−Phe−Lys−Glu−D−Lys−Arg−D−Trp−Lys−D−Phe−Tyr−D−Arg−Gly
D−Glu−Asp−Lys−D−Arg−D−His−Phe−Phe−D−Val−Tyr−Arg−Tyr−D−Tyr−Arg−His−Phe−NH2
Asp−Arg−D−Phe−Cys−Phe−D−Arg−D−Lys−Tyr−Arg−D−Tyr−Trp−D−His−Tyr−D−Phe−Lys−Phe
His−Tyr−D−Arg−Trp−Lys−Phe−D−Asp−Ala−Arg−Cys−D−Tyr−His−Phe−D−Lys−Tyr−His−Ser−NH2
Gly−Ala−Lys−Phe−D−Lys−Glu−Arg−Tyr−His−D−Arg−D−Arg−Asp−Tyr−Trp−D−His−Trp−His−D−Lys−Asp
Thr−Tyr−Arg−D−Lys−Trp−Tyr−Glu−Asp−D−Lys−D−Arg−His−Phe−D−Tyr−Gly−Val−Ile−D−His−Arg−Tyr−Lys−NH2]
[0057] 一実施形態では、本発明の方法において有用なペプチドは、μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有する(即ち、それらは、μ−オピオイド受容体を活性化する)。μ−オピオイド活性は、クローニングされたμ−オピオイド受容体に対する放射性リガンド結合アッセイまたはモルモット回腸を使用するバイオアッセイによって評価することができる(Schiller et al.,Eur J Med Chem,35:895−901,2000;Zhao et al.,J Pharmacol Exp Ther307:947−954,2003)。μ−オピオイド受容体の活性化は、典型的に、鎮痛効果を誘発する。ある場合には、μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有する芳香族性−カチオン性ペプチドが好適である。例えば、急性の疾患または病態におけるような短期の処置の間、μ−オピオイド受容体を活性化する芳香族性−カチオン性ペプチドを使用することが有益であり得る。そのような急性の疾患および病態は、しばしば、中程度または重度の疼痛に関連する。これらの場合、芳香族性−カチオン性ペプチドの鎮痛効果は、ヒト患者または他の哺乳動物の処置レジメンにおいて有益であり得る。しかし、μ−オピオイド受容体を活性化しない芳香族性−カチオン性ペプチドはまた、臨床要件に従って、鎮痛薬を伴ってまたは伴わずに使用してもよい。]
[0058] あるいは、他の場合、μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有さない芳香族性−カチオン性ペプチドが好適である。例えば、慢性の疾患または病態におけるような長期の処置の間、μ−オピオイド受容体を活性化する芳香族性−カチオン性ペプチドの使用は、禁忌であるかもしれない。これらの場合、芳香族性−カチオン性ペプチドの潜在的に有害または中毒作用のため、ヒト患者または他の哺乳動物の処置レジメンにおけるμ−オピオイド受容体を活性化する芳香族性−カチオン性ペプチドの使用が妨げられ得る。潜在的な有害作用として、鎮静、便秘および呼吸抑制を挙げることができる。そのような場合、μ−オピオイド受容体を活性化しない芳香族性−カチオン性ペプチドは、適切な処置であり得る。]
[0059] μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有する本発明の方法において有用なペプチドは、典型的に、N末端(即ち、最初のアミノ酸位置)においてチロシン残基またはチロシン誘導体を有するペプチドである。チロシンの好適な誘導体として、2’−メチルチロシン(Mmt);2’,6’−ジメチルチロシン(2’6’Dmt);3’,5’−ジメチルチロシン(3’5’Dmt);N,2’,6’−トリメチルチロシン(Tmt);および2’−ヒドロキシ−6’−メチルチロシン(Hmt)が挙げられる。]
[0060] 一実施形態では、μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有するペプチドは、式Tyr−D−Arg−Phe−Lys−NH2(本明細書において「SS−01」と称する)を有する。SS−01は、アミノ酸のチロシン、アルギニン、およびリジンが寄与する3の正味の正電荷を有し、そしてアミノ酸のフェニルアラニンおよびチロシンが寄与する2つの芳香族基を有する。SS−01のチロシンは、式2’,6’−Dmt−D−Arg−Phe−Lys−NH2(本明細書において「SS−02」)を有する化合物を生成するための2’,6’−ジメチルチロシンのようなチロシンの修飾された誘導体であり得る。SS−02は、640の分子量を有し、そして生理学的pHにおいて正味3の正電荷を担持する。SS−02は、エネルギー依存的様式で、いくらかの哺乳動物細胞タイプの形質膜を容易に透過する(Zhao et al.,J.Pharmacol Exp Ther.304:425−432,2003)。]
[0061] μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有さないペプチドは、一般的に、N末端(即ち、アミノ酸1位)においてチロシン残基またはチロシンの誘導体を有さない。N末端におけるアミノ酸は、チロシン以外の任意の天然に存在するまたは天然に存在しないアミノ酸であり得る。一実施形態では、N末端のアミノ酸は、フェニルアラニンまたはその誘導体である。フェニルアラニンの例示的な誘導体として、2’−メチルフェニルアラニン(Mmp)、2’,6’−ジメチルフェニルアラニン(Dmp)、N,2’,6’−トリメチルフェニルアラニン(Tmp)、および2’−ヒドロキシ−6’−メチルフェニルアラニン(Hmp)が挙げられる。]
[0062] μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有さない芳香族性−カチオン性ペプチドの一例は、式Phe−D−Arg−Phe−Lys−NH2(本明細書では、「SS−20」と称する)を有する。あるいは、N末端のフェニルアラニンは、2’,6’−ジメチルフェニルアラニン(2’6’Dmp)のようなフェニルアラニンの誘導体であり得る。アミノ酸1位において2’,6’−ジメチルフェニルアラニンを含有するSS−01は、式2’,6’−Dmp−D−Arg−Phe−Lys−NH2を有する。一実施形態では、SS−02のアミノ酸配列は、N末端にDmtが存在しないように、再配列される。μ−オピオイド受容体アゴニスト活性を有さないような芳香族性−カチオン性ペプチドの一例は、式D−Arg−2’6’Dmt−Lys−Phe−NH2(SS−31)を有する。]
[0063] SS−01、SS−20、SS−31、およびそれらの誘導体は、機能的類似体をさらに含むことができる。類似体がSS−01、SS−20、またはSS−31と同じ機能を有する場合、ペプチドは、SS−01、SS−20、またはSS−31の機能的類似体とみなされる。類似体は、例えば、SS−01、SS−20、またはSS−31の置換変異体であってもよく、ここで、1つ以上のアミノ酸が、もう1つのアミノ酸によって置換される。]
[0064] SS−01、SS−20、またはSS−31の適切な置換変異体として、保存的アミノ酸置換が挙げられる。アミノ酸は、それらの物理化学的特徴に従って、以下のように分類してもよい:
(a)非極性アミノ酸:Ala(A) Ser(S) Thr(T) Pro(P) Gly(G) Cys (C);
(b)酸性アミノ酸:Asn(N) Asp(D) Glu(E) Gln(Q);
(c)塩基性アミノ酸:His(H) Arg(R) Lys(K);
(d)疎水性アミノ酸:Met(M) Leu(L) Ile(I) Val(V);および
(e)芳香族性アミノ酸:Phe(F) Tyr(Y) Trp(W) His (H)。]
[0065] ペプチドにおけるアミノ酸の同じグループのもう1つのアミノ酸による置換は、保存的置換と称され、そして本来のペプチドの物理化学的特徴を保存し得る。対照的に、ペプチドにおけるアミノ酸の異なるグループのもう1つのアミノ酸による置換は、一般的に、本来のペプチドの特徴を変更する可能性が高い。]
[0066] いくつかの実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドにおける1つ以上の天然に存在するアミノ酸は、アミノ酸類似体で置換される。μ−オピオイド受容体を活性化する本発明の実施において有用な類似体の例として、表5に示す芳香族性−カチオン性ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0067] ]
[0068] ]
[0069] ]
[0070] ]
[0071] μ−オピオイド受容体を活性化しない本発明の実施において有用な類似体の例として、表6に示す芳香族性−カチオン性ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0072] ]
[0073] 表5および6に示すペプチドのアミノ酸は、L−またはD−立体配置のいずれであってもよい。]
[0074] ペプチドの合成
本発明の方法において有用なペプチドは、当該分野において周知の方法のいずれによっても合成することができる。タンパク質を化学的に合成するのに適切な方法として、例えば、Stuart and Young in Solid Phase Peptide Synthesis,Second Edition,Pierce Chemical Company(1984)、およびMethodsEnzymol.289,Academic Press,Inc,New York(1997)に記載の方法が挙げられる。]
[0075] 芳香族性−カチオン性ペプチドの予防および治療用途
概論。本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドは、疾患を防止または処置するのに有用である。具体的には、本発明は、インスリン抵抗性に関連する異常の危険性のある(もしくは異常が疑わしい)か、または異常を有する被験体を処置する予防的および治療的方法の両方を提供する。インスリン抵抗性は、一般的に、II型糖尿病、冠動脈疾患、腎機能障害、アテローム硬化症、肥満、高脂血症、および本態性高血圧症に関連する。インスリン抵抗性はまた、慢性炎症(NASH;「非アルコール性脂肪性肝炎」)、線維症、および肝硬変に進行することができる脂肪肝に関連する。累積的に、限定されないが、糖尿病を含むインスリン抵抗性症候群は、40歳を超える人の罹患および死亡の主要原因の多くの根拠になっている。従って、本発明は、被験体におけるインスリン抵抗性および関連症候群の防止および/または処置のための方法を提供し、この方法は、芳香族性−カチオン性ペプチドの有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む。例えば、インスリンに対する哺乳動物骨格筋組織の感受性を改善するために、被験体に、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチド組成物を投与することができる。一実施形態では、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドが、肥満、インスリン抵抗性、および/または糖尿病の1つ以上を引き起こす副作用を示す薬物(例えば、オランザピン、Zyprexa(登録商標))と共に投与される場合、本発明のペプチドは、薬物誘導性のこれらの病態を防止するのに有用である。]
[0076] 芳香族性−カチオン性ペプチドに基づく治療薬の生物学的効果の決定。本発明の様々な実施形態では、適切なインビトロまたはインビボアッセイを実施して、特定の芳香族性−カチオン性ペプチドに基づく治療薬の効果およびその投与が被験体の罹患した組織の処置に適応されるかどうかを決定する。様々な実施形態において、インビトロアッセイを、被験体の異常に関与するタイプの代表的な細胞と共に実施して、所定の芳香族性−カチオン性ペプチドに基づく治療薬が、細胞タイプに対して所望される効果を及ぼすかどうかを決定することができる。治療に使用するための化合物は、ヒト被験体における試験の前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどを含むがこれらに限定されない適切な動物モデル系において試験することができる。同様に、インビボでの試験のために、ヒト被験体への投与の前に、当該分野において公知の動物モデル系のいずれをも使用することができる。インスリン抵抗性または感受性の増加もしくは減少は、体重、空腹時グルコース/インスリン/遊離脂肪酸、耐糖能(OGTT)、インビトロでの筋肉インスリン感受性、インスリンシグナリングのマーカー(例えば、Akt−P、IRS−P)、ミトコンドリアの機能(例えば、呼吸もしくはH2O2放出)、細胞内酸化ストレスのマーカー(例えば、脂質過酸化、GSH/GSSG比もしくはアコニターゼ活性)またはミトコンドリアの酵素活性を定量することによって、容易に検出することができる。]
[0077] 予防方法。一態様では、本発明は、インスリン抵抗性の1つ以上の徴候またはマーカー、例えば、体重、空腹時グルコース/インスリン/遊離脂肪酸、耐糖能(OGTT)、インビトロでの筋肉インスリン感受性、インスリンシグナリングのマーカー(例えば、Akt−P、IRS−P)、ミトコンドリアの機能(例えば、呼吸もしくはH2O2放出)、細胞内酸化ストレスのマーカー(例えば、脂質過酸化、GSH/GSSG比もしくはアコニターゼ活性)またはミトコンドリアの酵素活性をモジュレートする芳香族性−カチオン性ペプチドを被験体に投与することによって、被験体の骨格筋組織におけるインスリン抵抗性に関連する疾患または病態を防止するための方法を提供する。]
[0078] 異常なミトコンドリアの機能またはインスリン抵抗性によって引き起こされるまたは寄与される疾患の危険性のある被験体は、例えば、本明細書に記載の診断または予後アッセイのいずれかまたは組み合わせによって、同定することができる。予防用途では、芳香族性−カチオン性ペプチドの医薬組成物または医薬品は、疾患または病態が疑わしいか、またはその危険性のある被験体に、疾患の生化学的、組織学的および/または行動症状、その合併症ならびに疾患の発達中に認められる中間的な病理学的表現型を含む疾患の危険性を排除もしくは減少する、感受性を低減する、または発症を遅延するのに十分な量で、投与される。疾患または異常が防止されるか、あるいは、その進行が遅延されるように、異常を特徴とする症状の出現の前に、予防的な芳香族性−カチオン性の投与を行うことができる。異常のタイプに依存して、例えば、ミトコンドリアの機能を増強または改善するために作用する芳香族性−カチオン性ペプチドを、被験体を治療するために使用することができる。本明細書に記載のスクリーニングアッセイに基づいて、適切な化合物を決定することができる。]
[0079] 治療方法。本発明のもう1つの態様として、治療目的のためにインスリン抵抗性または感受性をモジュレートする方法が挙げられる。治療適用では、そのような疾患が疑わしいか、または該疾患を既に患っている被験体に、その合併症、および疾患の発達中における中間的病理学的表現型を含む疾患の症状(生化学的、組織学的および/または行動的)を治癒するか、あるいは少なくとも部分的に停止するのに十分な量で、組成物または医薬品が投与される。治療または予防処置を達成するのに適切な量は、治療または予防有効量として定義される。これらのモジュレート方法は、(例えば、細胞を芳香族性−カチオン性ペプチドと共に培養することによって)インビトロで、あるいは、(例えば、芳香族性−カチオン性ペプチドを被験体に投与することによって)インビボで実施することができる。従って、本発明は、インスリン抵抗性関連疾患または異常を罹患した個体を処置する方法を提供する。]
[0080] 投与形態および有効用量
細胞、器官または組織とペプチドと接触させるための当業者に公知の任意の方法を用いてもよい。適切な方法として、インビトロ、エクスビボ、またはインビボでの方法が挙げられる。インビボでの方法は、典型的に、哺乳動物、好ましくは、ヒトへの上記の芳香族性−カチオン性ペプチドの投与を含む。治療のためにインビボで使用する場合、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドは、有効量(即ち、所望される治療効果を有する量)で被験体に投与される。それらは、通常、非経口的または経口的に投与される。用量および投与レジメンは、インスリン抵抗性関連疾患または異常の程度、使用する特定の芳香族性−カチオン性ペプチドの特徴、例えば、その治療係数、被験体、および被験体の既往歴に依存する。]
[0081] 有効量は、医師および臨床医によく知られた方法によって、前臨床治験および臨床治験中に決定してもよい。本発明の方法、好ましくは、医薬組成物において有用な有効量のペプチドは、医薬化合物を投与するための多くの周知の方法のいずれかによって、それを必要とする哺乳動物に投与され得る。ペプチドは、全身的または局所に投与してもよい。]
[0082] 本明細書に記載の芳香族性−カチオン性ペプチドは、本明細書に記載の疾患の処置または防止のために、被験体に単一または組み合わせで投与するための医薬組成物に組み入れることができる。そのような組成物は、典型的に、活性薬剤および薬学的に許容できるキャリアを含む。本明細書において使用する用語「薬学的に許容可能なキャリア」は、薬学的投与に適合する塩水、溶媒、分散媒体、被覆剤、抗細菌および抗真菌剤、等張性および吸収遅延剤などを含む。補助的な活性化合物もまた、組成物に組み入れられ得る。]
[0083] 医薬組成物は、典型的に、その目的とする投与経路に適合するように処方される。投与経路の例として、非経口(例えば、静脈内、皮内、腹腔内または皮下)、経口、吸入、経皮(局所)、経粘膜投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、次の成分を含むことができる:注射用水、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための薬剤。塩酸もしくは水酸化ナトリウムのような酸または塩基でpHを調整することができる。非経口製剤は、アンプル、ディスポーザブルシリンジまたはガラスもしくはプラスチック製の多用量バイアルに封入され得る。患者または処置を行う医師の簡便のために、投薬製剤は、処置経過(例えば、7日間の処置)のためのすべての必要な装置(例えば、薬物のバイアル、希釈剤のバイアル、シリンジおよび針)を含有するキットにおいて提供することができる。]
[0084] 注入用途に適する医薬組成物として、滅菌水溶液(水溶性である場合)または分散体および滅菌注入用溶液または分散体の用時調製のための滅菌粉体を挙げることができる。静脈内投与について、適切なキャリアとして、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、非経口投与のための組成物は、無菌的でなければならず、そして容易に注入可能(syringability)な程度にまで流動性であるべきである。それは、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌のような微生物の混入作用から保護されなければならない。]
[0085] 芳香族性−カチオン性ペプチド組成物は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得るキャリアを含むことができる。適切な流動性が、例えば、レシチンのような被覆剤の使用、分散の場合に必要な粒度の維持および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、多様な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チオメラソール(thiomerasol)などによって達成され得る。酸化を防止するために、グルタチオンおよび他の抗酸化剤を封入することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、または塩化ナトリウムを含むことが望ましい。注入可能な組成物の長期吸収は、組成物中に、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含ませることによって行うことができる。]
[0086] 滅菌注入用溶液は、活性な化合物を、必要であれば、上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に、適切な溶媒に組み入れ、その後に続くろ過滅菌によって調製することができる。一般的に、分散体は、活性な化合物を、基剤の分散媒体および上記に列挙したものから必要とする他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み入れることによって、調製される。滅菌注入用溶液の調製のための滅菌粉体の場合、典型的な調製方法は、その予め滅菌ろ過した溶液から有効成分および任意のさらなる所望される成分の粉体を産出することができる減圧乾燥ならびに凍結乾燥を含む。]
[0087] 経口用組成物は、一般的に、不活な希釈剤または食用のキャリアを含む。経口的治療投与の目的のために、活性な化合物を、賦形剤と共に組み入れ、錠剤、トローチ、またはカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物はまた、洗口剤としての用途のための流体キャリアを使用して調製することもできる。薬学的に適合可能な結合剤、および/またはアジュバント材料も組成物の部分として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、次の成分、または類似の性質の化合物のいずれかを含有することができる:結晶セルロース、ガムトラガントもしくはゼラチンのような結合剤;澱粉もしくはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesのような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;スクロースもしくはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ風味付けのような風味付け剤。]
[0088] 吸入による投与のために、化合物を、適切な噴射剤、例えば、二酸化炭素のような気体を含有する加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からエアゾルスプレーの形態で送達することができる。そのような方法として、米国特許第6,468,798号明細書に記載の方法が挙げられる。]
[0089] 本明細書に記載の治療用化合物の全身投与もまた、経粘膜的または経皮的手段によって行い得る。経粘膜的または経皮的手段では、透過すべき障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、一般的に当該分野において既知であり、例えば、経粘膜投与では、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、点鼻スプレー使用を介して達成することができる。経皮投与では、活性な化合物は、当該分野において一般的に公知の軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに処方される。一実施形態では、経皮投与を、イオン泳動によって実施してもよい。]
[0090] 治療用タンパク質またはペプチドは、キャリア系中に処方することができる。キャリアは、コロイド系であり得る。コロイド系は、リポソーム、リン脂質二重層ビヒクルであり得る。一実施形態では、治療用タンパク質は、リポソーム中に封入される一方、タンパク質の完全性を維持する。当業者によって理解されているように、リポソームを調製するための多様な方法が存在する。(Lichtenberg et al.,MethodsBiochem.Anal.,33:337−462(1988);Anselem et al.,Liposome Technology,CRCPress(1993)を参照のこと)。リポソーム製剤は、クリアランスを遅延し、そして細胞内取り込みを増加することができる(Reddy,Ann.Pharmacother.,34(7−8):915−923(2000)を参照のこと)。]
[0091] キャリアはまた、ポリマー、例えば、生分解性、生体適合性のポリマーマトリックスであり得る。一実施形態では、治療用タンパク質は、ポリマーマトリックス中に包埋することができる一方、タンパク質の完全性を維持する。ポリマーは、ポリペプチド、タンパク質もしくは多糖類のように天然のもであってもよく、またはポリα−ヒドロキシ酸のように合成されたものであってもよい。例として、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、酢酸セルロース、セルロースニトレート、多糖、フィブリン、ゼラチン、およびそれらの組み合わせから作製されるキャリアが挙げられる。一実施形態では、ポリマーは、ポリ−乳酸(PLA)またはコポリ乳酸/グリコール酸(PGLA)である。ポリマー性マトリックスは、マイクロスフェアおよびナノスフェアを含む多様な形態およびサイズで調製および単離することができる。ポリマー製剤は、治療効果の期間の延長をもたらすことができる。(Reddy,Ann.Pharmacother.,34(7−8):915−923(2000)を参照のこと)。ヒト成長ホルモン(hGH)のためのポリマー製剤は、臨床治験において使用されている。(Kozarich and Rich,Chemical Biology,2:548−552(1998)を参照のこと)。]
[0092] ポリマーマイクロスフェア持続放出製剤の例については、PCT公報の国際公開第99/15154号パンフレット(Tracy et al.)、米国特許第5,674,534号明細書および同第5,716,644号明細書(両方ともZale et al.)、PCT公報の国際公開第96/40073号パンフレット(Zale et al.)、およびPCT公報の国際公開第00/38651号パンフレット(Shah et al.)に記載されている。米国特許第5,674,534号明細書および同第5,716,644号明細書ならびにPCT公報の国際公開第96/40073号パンフレットは、塩による凝集に対して安定化されているエリスロポエチンの粒子を含有するポリマー性マトリックスについて説明している。]
[0093] いくつかの実施形態では、治療用化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む制御型放出製剤のような身体からの迅速な排泄に対して治療用化合物を保護するキャリアで調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤は、既知の技術を使用して調製することができる。材料はまた、例えば、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,Inc.Liposomal suspensions(細胞特異的抗原に対するモノクローナル抗体で特定の細胞を標的にしたリポソームを含む)から商業的に入手することができ、そして薬学的に許容できるキャリアとして使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号明細書に記載のように、当業者に既知の方法に従って調製することができる。]
[0094] 治療用化合物もまた、細胞内送達を増強するために処方することができる。例えば、リポソーム送達システムは、当該技術分野において公知であり、例えば、Chonn and Culli,“Recent Advances in Liposome Drug Delivery Systems,”Current Opinion in Biotechnology6:698−708(1995);Weiner,“Liposomes for Protein Delivery:Selecting Manufacture and Development Processes,” Immunomethods4(3)201−9(1994);およびGregoriadis,“Engineering Liposomes for Drug Delivery:Progress and Problems,”Trends Biotechnol.13(12):527−37(1995)を参照のこと。Mizguchi et al.,Cancer Lett.100:63−69(1996)は、インビボおよびインビトロの両方で、タンパク質を細胞に送達するための膜融合リポソームの使用について説明している。]
[0095] 治療用薬剤の用量、毒性および治療効力は、例えば、例としてLD50(集団の50%に対する致死用量)およびED50(集団の50%において治療有効な用量)を決定するための細胞培養または実験動物における標準的薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、それは、LD50/ED50比として表現され得る。高い治療指数を呈する化合物が好適である。毒性の副作用を呈する化合物を使用してもよいが、非感染細胞に対する潜在的な損傷を最小限にして、それによって副作用を減少するために、そのような化合物の標的を罹患した組織の部位にする送達システムを設計するように注意すべきである。]
[0096] 細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用のための用量の範囲を処方するのに使用することができる。そのような化合物の用量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く伴わないED50を含む広範な循環濃度内にある。用量は、用いられる剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本明細書に記載の方法において使用される任意の化合物について、治療有効な用量は、はじめに、細胞培養アッセイから見積もることができる。用量は、細胞培養中で決定されるようなIC50(即ち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて処方することができる。そのような情報を使用して、ヒトにおいてより正確な有用な用量を決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定してもよい。]
[0097] 典型的に、治療または予防効果を達成するのに十分な本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの有効量は、1日あたり1キログラムの体重あたり約0.000001mg〜1日あたり1キログラムの体重あたり約10,000mgの範囲である。好ましくは、用量は、1日あたり1キログラムの体重あたり約0.0001〜1日あたり1キログラムの体重あたり約100mgの範囲である。例えば、用量は、毎日、1日おき、または2日おきに1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重、あるいは毎週、1週間おきまたは2週間おきに1〜10mg/kgの範囲内であってもよい。一実施形態では、ペプチドの単回用量は、1kg体重あたり0.1〜10,000マイクログラムの範囲である。一実施形態では、キャリア中の芳香族性−カチオン性ペプチド濃度は、送達される1ミリリットルあたり0.2〜2000マイクログラムの範囲である。例示的な処置レジームは、1日あたり1回または1週間あたり1回の投与を必要とする。また、被験体のグルコースまたはインスリンの血中レベルを測定し、それに従って用量および投与を調整することによって適応するのであれば、間隔を不規則にすることもできる。いくつかの方法では、用量を調整して、所望される空腹時グルコースまたは空腹時インスリン濃度が達成される。治療的用途では、時には、疾患の進行が減少するかまたは終結するまで、好ましくは、被験体が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、相対的に短い間隔の相対的に高い用量が必要とされる。その後、患者には、予防レジームを投与することができる。]
[0098] いくつかの実施形態では、芳香族性−カチオン性ペプチドの治療有効量は、標的組織における10-11〜10-6モル、例えば、約10-7モルのペプチドの濃度として定義してもよい。この濃度は、0.01〜100mg/kgの全身用量または体表面積による等価な用量で送達してもよい。投薬のスケジュールは、最も好ましくは、連続投与(例えば、非経口的輸注もしくは経皮適用)をもまた含まれる毎日または毎週の単回投与によって、標的組織における治療濃度を維持するために最適化される。]
[0099] 当業者であれば、被験体の疾患もしくは障害の重度、以前の処置、総合的健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない所定の因子が被験体を有効に処置するのに必要な用量およびタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。さらに、治療有効量の本明細書に記載の治療有効量の治療用組成物による被験体の処置は、単回の処置または一連の処置を含むことができる。]
[0100] 本発明に従って処置される哺乳動物は、例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、およびウマのような畜産動物;イヌおよびネコのようなペット動物;ラット、マウスおよびウサギのような実験用動物を含む任意の哺乳動物であり得る。好適な実施形態では、哺乳動物はヒトである。]
[0101] 標識された芳香族性−カチオン性ペプチドおよび診断方法
本明細書では、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドを細胞または被験体に提供することを含む方法を開示し、ここで、ペプチドは、ペプチドにコンジュゲートされた検出可能な標識を有する。一実施形態では、特定の標識と特定のペプチドとの特定の組み合わせは、細胞内のペプチドの局在化の検出を可能にする。]
[0102] 標識された芳香族性−カチオン性ペプチド。一実施形態では、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドは、標識部分、即ち、検出可能な基と結合される。それが、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの特定の活性を有意に干渉しない限り、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドにコンジュゲートされた特定のレベルまたは検出可能な基は、本発明のそれほど重要な態様ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であり得る。そのような検出可能な標識は、イムノアッセイおよび画像化の分野において良好に開発されており、一般に、そのような方法において有用な任意のほとんどの標識を、本発明に適用することができる。それ故、標識は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段によって検出可能な任意の組成物である。本発明における有用な標識として、磁気ビーズ(例えば、DynabeadsTM)、蛍光染料(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン、Texas red、ローダミンなど)、放射性標識(例えば、3H、14C、35S、125I、121I、112In、99mTc)、(超音波イメージングのための)マイクロバブルのような他のイメージング剤、(ポジトロン断層撮影のための)18F、11C、15O、(単一光子放射断層撮影のための)99mTC、111In、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAにおいて一般的に使用される他のもの)、ならびに金コロイドのような熱量測定標識または着色されたガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズが挙げられる。そのような標識について説明した特許として、米国特許第3,817,837号明細書;同第3,850,752号明細書;同第3,939,350号明細書;同第3,996,345号明細書;同第4,277,437号明細書;同第4,275,149号明細書;および同第4,366,241号明細書(それぞれ、本明細書においてその全体がすべての目的のために参照により援用される)が挙げられる。また、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(6th Ed.,Molecular Probes,Inc.,Eugene OR.)を参照のこと。]
[0103] 標識は、当該分野において周知の方法に従って、アッセイの所望される成分に直接または間接的に結合させることができる。上記に示されるように、広範な標識を使用することができ、標識の選択は、要求される感度、化合物との結合の容易さ、安定性要件、利用可能な機器、および処理設備に依存する。]
[0104] 非放射性標識は、しばしば、間接的手段によって付着される。一般に、リガンド分子(例えば、ビオチン)が分子に共有結合される。次いで、リガンドは、本来的に検出可能であるかまたは検出可能な酵素、蛍光化合物、もしくは化学発光化合物のようなシグナル系に共有結合する抗リガンド(例えば、ストレプトアビジン)分子に結合する。多くのリガンドおよび抗リガンドを使用することができる。リガンドが天然の抗リガンド、例えば、ビオチン、サイロキシン、およびコルチゾールを有する場合、それは、標識された天然に存在する抗リガンドと共に使用することができる。]
[0105] 分子はまた、例えば、酵素またはフルオロフォアとの結合によって、シグナル発生化合物に直接コンジュゲートさせることができる。標識として興味深い酵素は、主に、ヒドロラーゼ、特に、ホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼである。標識分子として有用な蛍光化合物として、例えば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが挙げられるが、これらに限定されない。標識部分として有用な化学発光化合物として、例えば、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えば、ルミノールが挙げられる。使用することができる様々な標識化またはシグナル生成系の概説については、米国特許第4,391,904号明細書を参照のこと。]
[0106] 標識を検出する手段は、当業者に周知である。それ故、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段として、オートラジオグラフィーにおけるように、シンチレーションカウンタまたは写真用フィルムが挙げられる。蛍光が蛍光標識である場合、それは、適切な波長の光で蛍光色素を励起し、得られる蛍光を検出することによって、検出することができる。蛍光は、目視、写真用フィルムによって、電荷結合素子(CCD)または光倍増管などのような電子検出器の使用によって検出することができる。同様に、酵素標識は、酵素に適切な基質を提供し、得られる反応産物を検出することによって、検出することができる。最後に、簡単な発色標識は、標識に関連する色を観察することによって、簡単に検出することができる。それ故、様々なディップスティックアッセイでは、コンジュゲートされた金は、しばしば、桃色を呈する一方、様々なコンジュゲートされたビーズは、ビーズの色を呈する。]
[0107] 標識された芳香族性−カチオン性ペプチドの診断的用途
一実施形態では、方法は、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドを細胞または被験体に投与し、そして所望される局在化を達成することを含む。本発明の一実施形態では、方法は、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドをヒト細胞に投与し、そして所望される局在化を達成することを含む。所望される局在化とは、所望される細胞成分、例えば、ミトコンドリアにおいて特異的に隔離されている標識された芳香族性−カチオン性ペプチドを指す。当業者であれば、本発明の標識された任意の数の芳香族性−カチオン性ペプチドが細胞に送達され得、そして方法は、本発明の趣旨および範囲内にあることを認識するであろう。加えて、当業者であれば、様々なタイプの供給源から様々なタイプの細胞を細胞イメージングすることが、本発明の趣旨および範囲内にあることを認識するであろう。]
[0108] 本発明の標識された芳香族性−カチオン性ペプチドをインビトロおよび/またはインビボで使用して、目的の標的分子を検出することができる。多くの場合、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドは、標的の検出前に複数の試薬の添加および/または洗浄工程を必要とすることなく、ホモジニアスアッセイにおいて試験サンプルに簡単に添加することができる。本発明の標識された芳香族性−カチオン性ペプチドは、標的分子または細胞を含有する試験サンプルへの簡単な添加によって、インビトロで標的分子または細胞コンパートメントに接触し得る。インビトロアッセイのための試験サンプルは、例えば、分子ライブラリー、細胞溶解物、クロマトグラフィーカラムからの分析溶出物などであり得る。インビトロアッセイは、しばしば、例えば、マルチウェルプレートのウェル、試験チューブ、エッペンドルフチューブ、分光光度計セル、分析システムのコンジット、マイクロ流路システムの流路、オープンアレイなどのようなチャンバにおいて行われる。]
[0109] 本発明の標識された芳香族性−カチオン性ペプチドを生細胞に投与する場合、細胞表面上または細胞自体の内部で結合が生じ得、例えば、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドが細胞に移動して、細胞内標的分子と接触する。場合によって、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドは、細胞の標識された芳香族性−カチオン性ペプチドを含有する培地への単なる暴露によって、選択された標的に接触したことが疑わしい細胞に受動的に透過することができる。他の実施形態では、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドは、例えば、ポレーション(poration)、インジェクション、移動ペプチドを伴うトランスダクションなどのような当該分野において公知の機構によって、能動的に細胞に移動する。]
[0110] 細胞と標識された芳香族性−カチオン性ペプチドとの接触後、方法は、細胞にエネルギー源を照射することを含み得る。一実施形態では、エネルギー源は光源である。一実施形態では、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドのイメージング剤が、エネルギー源によって活性化される。一実施形態では、標識された芳香族性−カチオン性ペプチドのイメージング剤は、それがエネルギー源で照明される場合、検出可能なシグナルを放出する。本発明の一実施形態では、イメージング剤は、エネルギー源と応答して、検出可能な蛍光を放出する。]
[0111] 本発明の一実施形態では、光源に応答してイメージング剤によって放出された蛍光は、観察および測定され得る。本発明の一実施形態では、蛍光は、共焦点顕微鏡によって観察および測定される。当業者であれば、蛍光を観察および測定するために使用される様々なデバイスも本発明の趣旨および範囲内にあることを認識するであろう。]
[0112] 以下の実施例によって本発明についてさらに例示するが、これは、決して限定するものと解釈すべきではない。]
[0113] 実施例1−高脂肪の食餌を給餌したラットにおけるミトコンドリア機能障害
骨格筋における細胞内レドックスバランスの制御に対する食餌誘導性肥満の潜在的影響を決定するために、透過性化骨格筋線維束におけるミトコンドリアH2O2放出の速度を測定するための新規のアプローチを開発した。Anderson et al.,J.Clin Invest(doi:10.1172/JCI37048)を参照のこと。NADH結合複合体I基質によって支持される基底(状態4)の呼吸中、超酸化物形成の割合が低く、全O2利用の0.1〜0.5%を示す(Anderson&Neufer,Am J Physiol Cell Physiol290,C844−851(2006);St−Pierre et al.,J Biol Chem277,44784−44790(2002))。しかし、コハク酸、FADH2結合複合体II基質によって排他的に支持される呼吸は、複合体Iへの逆向きの電子流を発生させることによって、高い割合の超酸化物生成を誘発する(Anderson&Neufer,Am J Physiol Cell Physiol290,C844−851(2006);St−Pierre et al.,J Biol Chem 277,44784−44790(2002);Liu et al.,J Neurochem80,780−787(2002);Turrens et al.,Biochem J191,421−427(1980))。本実施例では、透過性化筋肉組織におけるミトコンドリアの機能を測定するための方法について説明し、そしてミトコンドリアの機能に対する高脂肪の食餌の影響について調べる。]
[0114] 動物および試薬。30匹の雄性Sprague−Dawley系ラットを、Charles River Laboratory(Wilmington,MA)から入手し、そして温度(22℃)および光制御された部屋に収容し、そして食物および水を自由に摂取させた。最初の30匹のラットのうち20匹に、高(60%)脂肪食餌(Research Dyets,Bethlehem,PA)を摂取させた。麻酔した動物(100mg/kg ipケタミン−キシラジン)から骨格筋を得た。手術後、麻酔した一方で、頚椎脱臼により、動物を屠殺した。Amplex Red Ultra試薬は、Molecular Probes(Eugene,OR)から入手した。スチグマテリンおよび西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)は、Fluka Biochemika(Buchs,Switzerland)から入手し、そして他のすべての化学物質は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。すべての動物研究は、East Carolina University Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認された。]
[0115] 透過性化筋肉線維束の調製。簡単に説明すると、ヒラメ筋、RG、およびWG筋肉の小部分(25mg)を切開し、そして60mMのK−MES、35mMのKCl、7.23mMのK2EGTA、2.77mMのCaK2EGTA、20mMのイミダゾール、0.5mMのDTT、20mMのタウリン、5.7mMのATP、15mMのPCr、および6.56mMのMgCl2・6H2O(pH7.1、295mosmol/kgのH2O)を含有する氷冷緩衝液X中に置いた。筋肉を結合組織から切り取り、そして線維束(2×7mm、4〜8mg湿重量)にまで切り出した。解剖顕微鏡下1対のニードルチップ型鉗子によって、線維を穏やかに相互から分離して、線維束の表面積を最大にし、小さな接触領域のみを残した。筋線維を透過性化するために、各線維束を、50μg/mlサポニンを含有する氷冷緩衝液X中に置き、そして回転装置上で30分間、4℃でインキュベートした。透過化後、透過性化線維束(PmFB)を、(mMで)110 K−MES、35 KCl、1 EGTA、10 K2HPO4、3 MgCl2−6H2O、5mg/mlのBSA、0.1グルタミン酸および0.05リンゴ酸(pH7.4、295mOsm)を含有する氷冷緩衝液Z中で洗浄し、そして分析を行うまで(<2時間)、回転装置上、4℃で緩衝液Z中に保持した。]
[0116] ミトコンドリア呼吸およびH2O2放出測定。高解像度の呼吸計測を、Oroboros O2K Oxygraph(Innsbruck,Austria)を使用して、30℃、緩衝液Z中で行った。温度制御および>1000rpmの磁気撹拌を伴うSpex Fluoromax3(Jobin Yvon,Ltd.)分光蛍光光度計を使用して、Amplex Redの酸化を連続的にモニターすることによって、緩衝液Z(10μg/mlオリゴマイシン)において、状態4の呼吸中30℃で、ミトコンドリアH2O2放出を測定した。Amplex Red試薬は、HRPによって触媒される1:1化学量論でH2O2と反応して、蛍光化合物レゾルフィンおよびモル当量のO2を生じる。レゾルフィンは、563nm/587nmの励起/蛍光特徴を有し、そして一旦形成されると極めて安定である。蛍光ベースライン(反応物のみ)を確立した後、透過性化線維束を、37℃でコハク酸を伴う5μMのAmplex Redおよび0.5U/mlのHRPを含有する300μlの緩衝液Zに添加することによって、反応を開始した。コハク酸の実験では、線維束を、基質を伴わない緩衝液Z中で簡単に洗浄して、洗浄液から残留するピルビン酸およびリンゴ酸を排除した。説明すると、10μg/mlオリゴマシンを反応緩衝液に封入して、ATPシンターゼを阻止し、そして状態4の呼吸を確実にした。各実験の終了時に、PmFBをddH2O中で洗浄して、塩を取り出し、そして凍結乾燥器(LabConco)中で凍結乾燥した。呼吸の速度を、pmol・秒-1・mg乾燥重量-1として表し、そしてミトコンドリアH2O2放出をpmol・分-1・mg乾燥重量-1として表す。]
[0117] 統計解析。データを平均±SEで示す。群間有意差の解析のためのStudent−Newman−Keuls法による一元配置ANOVAを使用して、統計解析を実施した。有意水準をP<0.05に設定した。]
[0118] 結果。漸次増加する代謝フラックス(ATP要求量の変化を伴わない)と比べて、H2O2を発生および/または放出する呼吸系の能力のより良好な測定値を提供するために、複合体I基質ピルビン酸およびリンゴ酸によって支持される状態4の呼吸中のコハク酸の滴定に応答するH2O2放出の変化を連続的にモニターした。H2O2放出対コハク酸濃度の比をプロットすることによって、呼吸系のオキシダント放出能において、曲線の左側への偏りが増加を示し、右側への偏りが減少を示すことが推論された。図1Aは、標準食、ラードを3日間または高脂肪食を3週間給餌したラットから調製した透過性化骨格筋線維からのミトコンドリアH2O2放出の速度を比較した代表的描線である。少量のグルタミン酸およびリンゴ酸(G/M)を、除勢された(de−energized)線維束(FB)に添加することによって、実験を開始し、続いて、コハク酸の濃度を(mMで)連続的に増加させる。] 図1A
[0119] 意外なことに、ラットを、標準的な高炭水化物の食事から3日間の100%脂肪(ラード)または3週間の60%高脂肪の食餌に切り換えると、感受性の変化はほとんど〜全く伴わずに、ミトコンドリアH2O2放出の最大速度の顕著な3〜4倍の増加が誘導された(図1Aおよび1B)。コハク酸滴定の終了時にロテノンを添加すると、H2O2放出が排除され(示さず)、複合体Iが、対照および高脂肪を給餌したラットの両方からの超酸化物生成の供給源であることが確認された。また、アンチマイシン(複合体IIIインヒビター)の存在下でピルビン酸/リンゴ酸を滴定することによって、ミトコンドリアオキシダント放出能を測定し、高脂肪を給餌したラットにおけるH2O2放出の最大速度より>2倍高いことがさらに示された(図2)。これらの所見は、高脂肪の食餌に移行した後、3日間もの短い期間内に、骨格筋におけるミトコンドリアオキシダント放出能が顕著に増加することを実証している。] 図1A 図2
[0120] 実施例2−高脂肪の食餌を給餌したラットのROS生成に対する芳香族性−カチオン性ペプチドの効果
超酸化物の生成は、炭水化物代謝に対し、脂肪酸によって支持される基礎呼吸中の方がより高く、オキシダント生成の持続的な上昇によって(即ち、ROS誘導性ROS放出機構によって)、高脂肪の食餌により誘導されるミトコンドリアオキシダント放出能の増加に陥る可能性が増大する。この仮説について試験するために、高脂肪を給餌したラットにおけるミトコンドリア機能に対する芳香族性−カチオン性ペプチドSS−31の効果について調べた。SS−31は、ミトコンドリア内膜内に特異的に局在する点で独特であり、ここで、SS−31は、膜電位または呼吸調節に影響を及ぼすことなく、ROSをスカベンジする。この小さなペプチド抗酸化剤は、心筋気絶に供された心臓(Zhao et al.,J Biol Chem279,34682−34690(2004))、移植後の膵島細胞(Thomas et al.,Journal of the American Society of Nephrology16,TH−FC067(2005))、およびパーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症疾患の動物モデル(Petri et al.,J Neurochem98,1141−1148(2006);Szeto et al.,AAPSJ 8,E521−531(2006))においてROSを有効に減少することが示されている。]
[0121] 高脂肪を給餌した群の10匹のラットに、リン酸緩衝食塩水に溶解したSS−31(1.5mg/kg)を、毎日、腹腔内注入した。SS−31の用量応答曲線を、インビトロ(図3A)およびインビボ(図3B)において確立した。実施例1に記載の方法に従って、ミトコンドリアの機能を測定した。両方の用量曲線とも、コハク酸により支持される呼吸中に、ミトコンドリアH2O2放出が50%を超えて減少することを示した。] 図3A 図3B
[0122] 次に、SS−31の連日投与を伴うまたは伴わずに、ラットを、6週間の高脂肪の食餌(60%)に供した。透過性化線維に対して行ったコハク酸滴定実験は、さらに、高脂肪を給餌したラットにおいて、H2O2放出の最大速度の顕著な3倍の増加を示した(図3C)。高脂肪を給餌したラット由来の透過性化線維はまた、パルミトイル−カルニチンによって支持される基礎呼吸中に、ほぼ2倍を超える速度のH2O2放出を生じた(図3D)。しかし、SS−31で処置された高脂肪を給餌したラットでは、コハク酸およびパルミトイル−カルニチンにより支持された両方の呼吸中のミトコンドリアオキシダント放出能の増加が、完全に防止された(図3Cおよび3D)。ピルビン酸/リンゴ酸によって支持される基礎呼吸は、高脂肪を給餌したラットにおいて僅かに増加したことから、ある程度の脱共役が示唆された(図3E)。しかし、高脂肪を給餌されたラットでは、ピルビン酸/リンゴ酸−またはパルミトイル−カルニチン−により支持された呼吸の基底速度は、SS−31処置の影響を受けておらず(図3Eおよび3F)、SS−31処置によるH2O2放出の正常化において、プロトンリークの増加による仲介が認められなかったことが示された。SS−31処置はまた、高脂肪を給餌したラットの体重増加にも影響を及ぼさなかった(データ示さず)。まとめると、これらの所見は、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドのようなミトコンドリアを標的にした抗酸化剤の投与は、高脂肪の食餌によって誘導されるミトコンドリアオキシダント放出能の増加を防止または補正するのに十分であることを実証する。従って、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの投与は、哺乳動物被験体におけるミトコンドリア機能障害によって引き起こされるインスリン抵抗性を防止または処置する方法において有用である。] 図3C 図3D 図3E
[0123] 多くのタンパク質(例えば、受容体、キナーゼ/ホスファターゼ、転写因子など)の細胞内局在および活性が、特定のチオール(−SH)含有残基の酸化状態によって可逆的に制御されることが、ますます認識されており、細胞内レドックス環境の偏りは、細胞の全体的な生物学的状態に影響を及ぼすという概念(Schafer and Buetner,Free Radic Biol Med30,1191−1212(2001))がもたらされる。グルタチオン(GSH)、細胞における最も豊富なレドックス緩衝剤は、H2O2の存在下、グルタチオンペルオキシダーゼによって可逆的にGSSGに酸化され、そしてNADPHによって供与される電子でグルタチオンレダクターゼにより還元され、GSHに戻る。GSH/GSSGの比は、極めて動的であり、主に、細胞の全体的レドックス環境に反映する。]
[0124] タンパク質ホモジネートを、pH7.2においてmMで:10 Tris、1EDTA、1 EGTA、2オルトバナジウム酸Na、2ピロリン酸Na、5 NaF、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete)を含有する緩衝液において100mgの粉末化された凍結筋肉を均質化することによって、調製した。均質化後、1%のTriton X−100をタンパク質懸濁液に添加し、ボルテックスし、そして氷上に5分間、置いた。次いで、チューブを10,000rpmで10分間、スピンして、不溶性破砕物をペレット化した。GSSG測定では、組織を、20mMメチル−2−ビニルピリジニウムトリフレートを含有する溶液中で均質化して、サンプル中のすべての還元型チオールをスカベンジした。次いで、総GSHおよびGSSGを、製造者の指示に従い、必要であれば若干の変更を加えて、GSH/GSSGアッセイ(Oxis Research)によって提供される試薬およびキャリブレーションセットを使用して、測定した。]
[0125] 意外なことに、高脂肪を給餌すると、SS−31処置にかかわらず総細胞グルタチオン含有量(GSHt)が約30%減少したことが見出され(図3G)、高脂肪を摂取すると、骨格筋におけるGSH仲介レドックス緩衝能が損なわれることが実証された。高脂肪の食餌によって生じるミトコンドリアオキシダント放出の増加と骨格筋の全体的なレドックス環境に対するその影響との間の関係を確立するために、食事および高脂肪を給餌したラットの骨格筋において、次の2つの条件下;10時間の絶食後、および標準的なグルコース負荷の投与(強制経口投与、10時間絶食させた)の1時間後、GSHおよびGSSGの両方を測定した。食事を給餌した対照では、グルコース摂取は、GSH/GSSG比の約50%減少を誘発し(GSHtに正規化された、図3H)、おそらく、インスリン刺激グルコース代謝の増加に応答するさらなる酸化型状態への短期の偏りを反映する。食事を給餌した対照と比べて、高脂肪を給餌したラットでは、GSH/GSSG比は、10時間の絶食状態で既に約50%減少し、そしてグルコース摂取に応答して、さらに低下した。しかし、SS−31処置は、グルコース摂取に応答しても、GSH/GSSG比をほぼ対照のレベルを保った。これらの所見は、高脂肪の食餌が、骨格筋の細胞内レドックス環境をさらなる酸化型状態に偏らせることを実証する。SS−31で処置すると、おそらく、主要なオキシダントをスカベンジし、それにより、高脂肪の食餌によって誘導される総GSH仲介レドックス緩衝能の減少を補正することによって、骨格筋の細胞内レドックス状態を保つことが可能であった。それ故、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドのようなミトコンドリアを標的にした抗酸化剤の投与は、高脂肪の食餌を給餌したラットにおいて発達する代謝機能障害を防止するかまたは補正するかのいずれかである。従って、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの投与は、哺乳動物被験体におけるこのような代謝機能障害を防止または処置する方法において有用である。] 図3G 図3H
[0126] 実施例3−経口ブドウ糖負荷試験
細胞内レドックス環境におけるミトコンドリア由来の変化が、高脂肪食餌誘導性インスリン抵抗性の病因に関連し得るかどうかを調べるために、6週間の高脂肪食餌後、ラットにおいて、経口ブドウ糖負荷試験を実施した。実験日において、2g/kgグルコース溶液の強制投与の10時間前に、食物を取り出した。グルコースレベルを、全血サンプルに対して決定した(Lifescan,Milpitas,CA)。ラット/マウスELISAキット(Linco Research,St.Charles,MO)を介して、血清インスリンレベルを決定した。空腹時データを使用して、恒常性モデル評価(HOMA)を決定した(空腹時インスリン(μU/ml)×空腹時グルコース(mM)/22.5として計算した)。]
[0127] 標準食を給餌したラットと比較して、高脂肪を給餌したラットでは、経口グルコースチャレンジに対する血中グルコース(図4A)およびインスリン(図4B)応答は、より高く、そしてより持続した。高脂肪を給餌したラットをSS−31で処置すると、経口グルコースチャレンジに対する血中グルコースおよびインスリン応答の両方が正常化した。] 図4A 図4B
[0128] 増加した恒常性モデル評価(HOMA、図4C)、ならびに血中グルコースおよびインスリンの両方に対するより大きな曲線下面積(図4D)から、高脂肪を給餌したラットにおけるインスリン抵抗性の発達が確認された。高脂肪を給餌したラットをSS−31で処置すると、インスリン抵抗性の発達が完全に阻止された(図4Cおよび4D)。インスリン感受性をさらに評価するため、10時間の絶食後または経口グルコース負荷の投与の1時間後、動物由来の骨格筋におけるインスリンシグナリングタンパク質Aktのリン酸化状態を測定した。グルコース摂取に応答して、Aktリン酸化は、食事を給餌した対照の骨格筋において約5倍増加したが、高脂肪を給餌したラットにおいては変化せず(図4Eおよび4F)、インスリンシグナリングのレベルでのインスリン抵抗性の存在が確認された。高脂肪を給餌したラットをSS−31で処置すると、グルコース摂取に応答してAktリン酸化が完全に保たれ(図4Eおよび4F)、インスリン感受性の保存がさらに示された。それ故、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドのようなミトコンドリアを標的にした抗酸化剤の投与は、高脂肪の食餌を給餌したラットにおいて発達するインスリン抵抗性を防止する。従って、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの投与は、哺乳動物被験体におけるインスリン抵抗性を防止または処置する方法において有用である。] 図4C 図4D 図4E
[0129] 実施例4−ヒト被験体におけるミトコンドリア機能障害
細胞内レドックス環境におけるミトコンドリア由来の変化とインスリン抵抗性との間の関係を強化し、そして同じ現象がヒトにも当てはまるかどうかを調べるため、痩身型でインスリン感受性(BMI=21.6±1.2kgm-2、HOMA=1.2±0.4)のおよび肥満型でインスリン抵抗性(BMI=43.0±4.1kgm-2、HOMA=2.5±0.7、P<0.05)の男性ヒト被験体由来の筋肉生検から得られた透過性化骨格筋線維束におけるミトコンドリアH2O2放出および呼吸の制御を測定した。]
[0130] 人種混合の8名の健常な男性(年齢18〜31歳)を採用して、本研究に参加させた:5名を痩身型(BMI≦24.9kg/m2)に分類し、そして3名を病的肥満型(BMI≧35kg/m2)に分類した。すべての参加者は、代謝疾患の既往歴を伴わない非喫煙者であった。何らかの疾患を有するか、または代謝を変更することが公知である何らかの医薬品を服用している被験体は認められなかった。実験日において、被験体は、1晩の絶食(約12時間)後、研究室に来室した。グルコースおよびインスリン測定のため、空腹時血液サンプルを得た(Labcorps)。身長および体重を記録し、そして局所皮下麻酔(1%リドカイン)下経皮針生検技術により、外側広筋の外側面から骨格筋生検を得た。タンパク質分析のため生検サンプルの一部を、液体N2中で急速凍結し、そしてもう1つの部分を使用して、透過性化線維束を調製した。]
[0131] 結果。ミトコンドリアH2O2放出は、コハク酸の滴定に対する応答では、痩身型に対し、肥満型の方が約2倍高く(図5A)、そして脂肪酸によって支持される基礎呼吸中では、ほぼ4倍高かった(図5B)。H2O2放出の差異にもかかわらず、基礎O2利用は、痩身型被験体と肥満型被験体との間では類似していた(図5C);結果的に、ミトコンドリアフリーラジカルリークの速度は、グルタミン酸/リンゴ酸/コハク酸中では約2倍高く、そしてパルミトイル−カルニチンによって支持される基礎呼吸中では>4倍高かった(図5D)。最大ADP刺激O2消費は、複合体I基質グルタミン酸/リンゴ酸によって支持される呼吸中の肥満型被験体由来の透過性化筋線維において約35%低かった(図5C)が、これは、肥満型に関連する全体的な骨格筋呼吸容量の減少と一致する。最後に、高脂肪の食事を給餌したラットと同様に、総細胞GSH含有量およびGSH/GSSG比は、両方とも肥満型ヒトの骨格筋において約50%倍低かった(図5Eおよび5F)が、全体的により低いレドックス緩衝能および明確により酸化型の細胞内レドックス環境の両方が示唆される。] 図5A 図5B 図5C 図5D 図5E
[0132] 要約すると、これらの所見は、総合的に見て、ミトコンドリアROS放出および高脂肪食餌誘導性インスリン抵抗性の根本原因としてのより酸化型の骨格筋レドックス環境への偏りが得られたことを確立している。ミトコンドリアのH2O2放出能の増加は、レドックス環境におけるこのような偏りに寄与する主な因子であるようである。それ故、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドのようなミトコンドリアを標的にした抗酸化剤の投与は、栄養過多により発達する代謝機能障害を防止するかまたは補正するかのいずれかである。従って、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの投与は、ヒト被験体におけるインスリン抵抗性を防止または処置する方法において有用である。]
[0133] 実施例5−Zuckerラットモデルにおける本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドによるインスリン抵抗性の防止および処置
一方で、インスリン抵抗性の防止、および他方で、インスリン抵抗性の処置についてさらに実証するために、本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドを、脂肪過多(fa/fa)Zuckerラット、食餌誘導性インスリン抵抗性のモデルに対して試験した。6週齢の高脂肪を給餌したSprague−Dawleyラットモデル(実施例1〜3において使用した)と比較して、脂肪過多Zuckerラットは、かなり高程度の肥満およびインスリン抵抗性を発達する。高脂肪を給餌したラットに関して、脂肪過多Zuckerラット由来の透過性化線維では、ミトコンドリア機能障害(オキシダント放出能の増加)もまた明白である。]
[0134] 第1に、インスリン抵抗性の防止に対する本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの効果について調べるために、若齢Zuckerラット(約3〜4週齢)に、SS−31を約6週間、投与する。これらの若齢ラットがなおインスリン抵抗性の徴候または症状を示さない場合、それらは、インスリン抵抗性を防止する方法の効力を評価するための有用なモデルを提供する。SS−31(1.0〜5.0mg/kg体重)を、ラットに腹腔内または経口投与(即ち、飲料水もしくは強制)を介して投与する。]
[0135] SS−31投与は、脂肪過多(fa/fa)Zuckerラットにおいて通常発達する身体全体および筋肉のインスリン抵抗性の発達を減弱または防止することが推定される。測定される結果には、体重、空腹時グルコース/インスリン/遊離脂肪酸、耐糖能(OGTT)、インビトロでの筋肉インスリン感受性(インキュベーション)、インスリンシグナリングのマーカー(Akt−P、IRS−P)、透過性化線維に対するミトコンドリア機能(呼吸、H2O2放出)、細胞内酸化ストレスのマーカー(脂質過酸化、GSH/GSSG比、アコニターゼ活性)およびミトコンドリア酵素活性が含まれる。対照ラットとSS−31を投与したfa/faラットとの間で比較を行う。対照には、野生型およびSS−31を投与しなかったfa/faラットが含まれる。本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドによるインスリン抵抗性の首尾よい防止が、上記で列挙したインスリン抵抗性またはミトコンドリア機能障害に関連する1つ以上のマーカーの減少によって示される。]
[0136] 第2に、インスリン抵抗性の処置に対する本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドの効果について調べるために、Zuckerラット(約12週齢)に、SS−31を約6週間、投与する。これらのラットが、肥満およびインスリン抵抗性の徴候を示す場合、それらは、インスリン抵抗性を治療する方法の効力を評価するための有用なモデルを提供する。SS−31(1.0〜5.0mg/kg体重)を、ラットに腹腔内または経口投与(即ち、飲料水もしくは強制)を介して投与する。]
[0137] SS−31投与は、これらの老齢脂肪過多(fa/fa)Zuckerラットにおいて通常発達する身体全体および筋肉のインスリン抵抗性を改善または減少することが推定される。測定される結果には、体重、空腹時グルコース/インスリン/遊離脂肪酸、耐糖能(OGTT)、インビトロでの筋肉インスリン感受性(インキュベーション)、インスリンシグナリングのマーカー(Akt−P、IRS−P)、透過性化線維に対するミトコンドリア機能(呼吸、H2O2放出)、細胞内酸化ストレスのマーカー(脂質過酸化、GSH/GSSG比、アコニターゼ活性)およびミトコンドリア酵素活性が含まれる。対照ラットとSS−31を投与したfa/faラットとの間で比較を行う。対照には、野生型およびSS−31を投与しなかったfa/faラットが含まれる。本発明の芳香族性−カチオン性ペプチドによるインスリン抵抗性の首尾よい処置が、上記で列挙したインスリン抵抗性またはミトコンドリア機能障害に関連する1つ以上のマーカーの減少によって示される。]
[0138] 均等物
本発明は、本発明の個々の態様の単なる例示を目的とする本出願に記載の特定の実施形態に限定されるべきではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの改変および変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本発明の範囲内の機能的に均等な方法および装置についても、本明細書において列挙した方法および装置に加えて、上記の説明から当業者には明らかであろう。そのような改変および変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本発明は、添付の特許請求の範囲が権利を与えられる均等物のすべての範囲と共に、特許請求の範囲に記載の用語によってのみ限定される。本発明は、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物学的系に限定されず、当然ながら、変動し得ることを理解すべきである。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しないこともまた理解されるべきである。]
実施例

[0139] 他の実施形態も以下の特許請求の範囲内に当てはまる。]
权利要求:

請求項1
哺乳動物被験体においてインスリン抵抗性を処置または防止する方法であって、前記哺乳動物被験体に、治療有効量のペプチドD−Arg−2’6’Dmt−Lys−Phe−NH2(SS−31)を投与することを含む、方法。
請求項2
被験体はヒトである、請求項1に記載の方法。
請求項3
被験体は、食餌誘導性インスリン抵抗性を患っている、請求項1に記載の方法。
請求項4
インスリン抵抗性はII型糖尿病に関連する、請求項1に記載の方法。
請求項5
インスリン抵抗性は肥満に関連する、請求項1に記載の方法。
請求項6
インスリン抵抗性は、冠動脈疾患、腎機能障害、アテローム硬化症、高脂血症、本態性高血圧症、または脂肪肝に関連する、請求項1に記載の方法。
請求項7
インスリン抵抗性は薬物誘導性インスリン抵抗性である、請求項1に記載の方法。
請求項8
ペプチドは、II型糖尿病の発症の前に投与される、請求項1に記載の方法。
請求項9
ペプチドは、経口的、局所的、全身、静脈内、皮下、または筋肉内に投与される、請求項1に記載の方法。
請求項10
インスリン抵抗性を処置または防止することが必要な哺乳動物を同定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項11
インスリン抵抗性の処置または防止のために、哺乳動物をモニターする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項12
治療有効量は、約10-8〜10-6モルの標的組織中ペプチド濃度である、請求項1に記載の方法。
类似技术:
公开号 | 公开日 | 专利标题
JP2017095519A|2017-06-01|ミトコンドリア透過性転移の阻止方法
US20180117112A1|2018-05-03|Methods for performing a coronary artery bypass graft procedure
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